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「交通技術解説者」とは何か?

この記事では、私が「交通技術解説者」と名乗る理由と、その肩書きに込めた意味を説明します。

主題は「交通」ではなく「技術」

多くの方は、この「交通技術解説者」という肩書きを見て、「交通技術を専門とする解説者」と思うかもしれません。

いっぽう、私が込めた意味は少し異なります。身近な「乗りもの(交通)」を通して、むずかしい「技術」を一般向けにわかりやすく翻訳・解説する人です。つまり、主題は「技術」であり、「交通」はそこに至るまでの「入口」と考えているのです。

技術を伝えたい理由

なぜ技術を主題にしたのか。それは、私自身が大学・大学院で工学を学んだ元技術者であり、「技術のことをもっと広く知ってもらいたい」という強い思いがあるからです。

もちろん、技術を社会に伝えることは容易ではありません。

そもそも技術は、専門性が高いため、一般の方には伝わりにくい傾向があります。たとえば、私のもとの専門である化学は、本当は身近なのに、分子構造のように肉眼で見ることができない部分があるためか、難解な学問だと思われ、敬遠されがちです。

「それでも伝える方法はないか?」

そう考えてたどり着いた方法が、身近な乗りものを「入口」にして、技術を伝えることでした。これは、一般の方が技術に対して感じる心理的なハードルを下げ、興味を持ってもらう手段として考えたものでした。

乗りものを「入口」にした背景

この背景には、人間の根源的な営みと、本能が関係しています。

「移動」は、生命維持に欠かせない根源的な営みです。

「移動したい」という欲求は、本能に根ざしています。

現代社会では、「移動」を生き延びるために使う場面は減りました。ただし、「移動したい」という欲求は消えていません。旅行などのレジャーが多くの人を惹きつけるのは、その現れだと私は見ています。

そもそも人間は、「移動」が得意ではありません。陸上では、走ることができても、その速度はチーターなどの動物には及ばない。魚のように水中を自由に泳ぐことはできない。鳥のように空中を飛ぶこともできない。それらの点においては、多くの制約があります。

だから人間は、それらの弱点をカバーするため、陸・海・空を自由に「移動」する道具を考え、つくりました。

それが身近な乗りもの、つまり鉄道・自動車・船・飛行機です。

現在は、乗りものを趣味の対象にしている方がいます。そう意識していなくても、「なんとなく乗りもので移動するのが好き」という方は多いはずです。

だから、私は技術を知る「入口」として、乗りものを活用しました。乗りものは、多数の技術を組み合わせた集合体であり、それに興味を持つことで、それまで関心を持っていなかった技術たちに出会うチャンスが生まれるからです。専門家でない方が技術の世界をのぞくのに適した、間口が広い「入口」です。

以上の理由から、私は2004年に技術者を辞めて独立したときに、活動の舞台を「化学」から「交通」へと移しました。「交通」は「化学」よりも多くの方に興味を持ってもらいやすく、技術を翻訳するニーズが高いからです。もちろん、私自身が乗りもの好きだったことも関係しています。

それからは、「交通」の各分野の専門家に協力してもらい、「交通」を支える技術を、社会に向けて紹介してきました。また、「交通」と密接な関係がある地球環境やエネルギー、資源の問題に関しては、過去に学んだ「化学」の知識を活用しています。

なぜ「解説者」なのか

私は独立から20年以上「交通」に関わる活動を続け、それに関する著書を、単著のみで28冊(国内22冊+海外6冊)上梓してきました。このため、「交通」の専門家だと思われる機会が増えました。

ただし、私は、専門家とは立場が異なります。私は各分野の最先端を走る専門家ではありません。あくまでも、専門家の言葉を咀嚼し、技術を一般向けに翻訳する立場です。翻訳では、専門家が使う専門用語は極力使わず、精度が極端に下がらないように気をつけています。

私は、このような意味を、肩書きの「解説者」に込めました。

何をお引き受けできるか

現在の私がお引き受けできることは、技術と社会の相互理解を実現するお手伝いです。具体的に言うと、執筆、作図、写真撮影、講演、テレビ・ラジオへの出演、書籍・番組の監修、企業・団体の活動をサポートするための助言(コンサルティング)です。

これからも、技術と社会を結ぶ「かけ橋」としての役割を果たすため、その入口に立ち続けます。

この記事を書いた人

川辺謙一
川辺謙一交通技術解説者
強固な技術的バックグラウンドを持つ解説者。鉄道・道路・モビリティ・インフラ・DXの「見えない構造」を、意思決定に使える「知」に変換する。